有所見と診断されたら

肥満傾向と言われたら

肥満とは

単に体重が重いことではなく、体に必要 以上の脂肪を貯蔵している状態をいいます。絶えず脂肪という余分な荷物を背負っているのと同じですから、長い間には内臓に負担がかかりさまざまな生活習慣病の引き金となります。

放っておくとどうなるのか

  1. 中性脂肪が増え、皮下脂肪の蓄積や心臓の圧迫から高血圧になりやすい。
  2. 動脈硬化が起こりやすくなり、心臓病や脳卒中の原因になる。
  3. 食べ過ぎの結果、インスリンの働きが弱くなり糖尿病になりやすい。
  4. 脂肪肝という肝臓病になりやすい。
  5. 尿酸値が高くなり、痛風を起こしやすい。
  6. 栄養過剰から胆石症になりやすい。
  7. 膝関節など骨・関節の負担が増し、老化が起こりやすい。
  8. 免疫の働きが悪くなり、ウィルスに感染しやすい。

「りんご型」肥満は要注意

肥満は 「りんご型 」と 「洋なし型 」に分けることができます。ウエストサイズをヒップサイズで割り、その数値が女性で0.8以上、男性で1.0以上の人はりんご型に属します。りんご型は内臓に脂肪がたまるタイプで生活習慣病になりやすいといわれているので、特に注意が必要です。

リンゴ型

お腹のまわりに脂肪がついて出っ張るタイプ。
成人病を併発しやすく男性や中高年の女性に多い。

洋なし型

お尻や太ももに皮下脂肪がついて、ぷっくり太るタイプ。
若い女性に多く、成人病との関わりは少ない。

リンゴ型、洋なし型

肥満を予防するには

余分な脂肪を減らすためには、食生活の改善と適度な運動を合わせて行うのが効果的です。

  1. 1日3食バランスよく食べる。
  2. よく噛んでゆっくり食べる。
  3. アルコールや嗜好品を控える。
  4. 1日の適正なエネルギー量を守る。
  5. 適度な運動をする。
  6. ストレスをためない。
  7. 週に1度は体重チェックをする。
1日200~300kcalを消費する有酸素運動
ジョギング(100m/分) 15分
散歩(60m/分) 30分
速足(80m/分) 20分
平泳ぎ 10分
キャッチボール 15分
自転車 20分
ゴルフ(平地) 15分
炊事 27分
テニス 10分
洗濯 40分
縄とび 10分
入浴 20分

血圧が高いと言われたら

高血圧とは

血圧には、収縮期血圧 (最大血圧)と拡張期血圧(最小血圧)があります。収縮期血圧(最大血圧)とは心臓が収縮し、血液を送り出している状態の血圧、拡張期血圧(最小血圧)とは心臓が拡大し、血液が心臓に戻ってきている状態の血圧です。この収縮期血圧(最大血圧)、拡張期血圧(最小血圧)が普通よりも高くなっている状態を、高血圧と言います。

思いあたることをセルフチェック

  1. 朝起きたときに頭痛がする。
  2. 冷たい水で顔を洗うと頭がクラクラする。
  3. ときどきめまいがする。
  4. 肩こりが続く。
  5. 理由もなくイライラしたり、怒り出す。
  6. 最近、耳鳴りがよくする。
  7. 動悸、息切れが頻繁にある。
  8. 塩辛い食事をし、タバコをよく吸う。
  9. 両親、兄弟に心臓発作や脳卒中で倒れた人がいる。
  10. 健康診断で高血圧、高血糖を指摘されたことがある。

アドバイス

1~7は高血圧症の人に多い症状です。
8は高血圧症を起こしやすい習慣です。
9は高血圧症になりやすい素質です。
10の人は定期的に検査を受け、からだの状態を管理する必要があります。

放っておくとどうなるのか

  1. 動脈硬化が起こる。
  2. 脳出血や脳梗塞が起こりやすい。
  3. 腎臓に動脈硬化がおこると腎硬化症が起こり、それが進行すると腎不全や尿毒症を起こす。
  4. 動脈硬化が続くと心肥大が起こる。この状態を放置すると心臓はますます疲れきり、全身に血液を送り出すポンプ作用が弱まり、心不全になる。
  5. 心臓の冠動脈に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞が起こる。

成人の血圧の区分

成人の血圧の区分

高血圧を予防するには

  1. 食塩は1日10g以下に抑える。
  2. 温度差に注意し、血圧の上昇を防ぐ。
  3. タバコやお酒、コーヒーを控えめにする。
  4. ストレス、過労を避ける。
  5. 月に1回は血圧測定を心がける。

アドバイス

  • しょうゆ、ソースは小皿につけて食べる。
  • 食卓に食塩をおかない。
  • 酢、レモン、香味野菜で味に変化をつける。
  • 薄味料理に慣れる。
  • 漬物は大皿に盛らない。
  • 塩分を多く含む食品を覚え、食べすぎない。
食品に含まれる塩分のめやす
調味料 塩(小さじ1杯) 5g
しょう油(小さじ1杯) 1g
味噌(大さじ1杯) 2g
ソース(大さじ1杯) 0.6g
ケチャップ(大さじ1杯) 0.6g
食品 塩さけ(1切100g) 8.2g
かまぼこ(1本300g) 8.0g
みそ汁(1椀分) 1.6g
にぎり寿司(1人前) 5g
幕の内弁当(1人前) 4.5g

血糖値が高いと言われたら

糖尿病とは

血液中のブドウ糖の値が高くなって起こる病気です。口から摂取した糖質は膵臓からでるインスリンによって分解されますが、インスリンの作用不足により、血液中の糖が異常に上昇したり(血糖)、尿中にも糖が出るようになります(尿糖)。

放っておくとどうなるのか

糖尿病は、ほとんどが何の自覚症状もないままに進行していきます。糖尿病が恐いのは、他の病気との合併症や併発症を起こすことです。特に動脈硬化による血管合併症は要注意です。

こわい合併症・併発症

脳梗塞・脳出血 網膜症・白内障 心筋梗塞・狭心症 皮膚の感染症 腎不全 足の動脈硬化(間欠性跛行) 神経障害(壊疸など)

早期発見のために

高血糖=糖尿病というわけではありません。その他に肝臓や膵臓の病気も疑われますし、健康な人でも検査前の食事制限をきちんと守らなかったために、血糖値が高くなったということもあります。いずれにしても精密検査を受ける必要があります。

思いあたることをセルフチェック

  1. やたらに、のどが渇く。
  2. たびたびトイレに行き、尿量も多い。
  3. お腹が空いて仕方がない。
  4. だるくて、すぐ疲れてしまう。
  5. 食欲があるのにやせてきた。
  6. 皮膚がかゆい。
  7. こむらがえりがよく起こる。
  8. 両親、兄弟に糖尿病の人がいる。
  9. 体重がオーバー気味だが、食べる量を控えられない。
  10. 甘い物、アルコールを摂りすぎる。

アドバイス

1~7は糖尿病の症状の一部です。
このような自覚症状が出たときは、早めに受診することが大切です。
8~10にあてはまる人は、糖尿病になりやすいことを自覚しましょう。

糖尿病を予防するには

糖尿病と診断されたら、必ず主治医の指導に基づいた生活習慣の改善が必要です。

  1. 規則正しく1日3食きちんと食べる。
  2. ゆっくりとよく噛んで腹八分目を心がける。
  3. たんぱく質、脂質、糖質の三大栄養素を過不足なく、まんべんなく摂る。
  4. ビタミン、ミネラルをたっぷり摂る。
  5. 標準体重を守る。
  6. アルコールを飲まない。
  7. 食物繊維、海藻を積極的に摂る。
  8. 生活の中に運動習慣をとり入れる。
  9. 疲れやストレスは早めに解消する。
  10. 定期的に健診を受け、血糖のコントロールの状態を確認する。

運動習慣のポイント

ウォーキングやラジオ体操など、無理せずに続けられる運動をしましょう。

アルコールのとりすぎに注意

これはいずれも約80kcalになります。

・ビール 1/3本
・焼酎(25度) 3/1合
・ウィスキー シングル 1杯
・日本酒 2/1合
・ご飯 2/1杯(55g)

腎機能に異常があると言われたら

自覚症状が少なく進行性が多い腎臓病

腎臓病は大きくわけると腎炎(急性腎炎、慢性腎炎)、ネフローゼ、腎不全がありますが、急性腎炎などを除くと大半の病気が進行性のもので、また、かなり進行するまで自覚症状が現われないのが特徴です。慢性腎炎は急性腎炎が治りきらないで慢性に移行する場合もありますが、その多くは原因が不明で、人間ドックや風邪の検査などで偶然発見されます。

早期治療で症状の悪化を防ぐ

腎機能に異常があると認められたら、早期治療で悪化する前に進行の速度をゆるめることが大切です。症状が悪化し、慢性腎不全になると、人工透析や腎臓移植をしないと生命の危機にさらされることもあります。また、慢性腎不全は、高血圧がもとになって起こる腎硬化症や糖尿病が元になって起こる糖尿性腎症などが原因となることもありますので、こうした病気のある人も注意が必要です。

危険信号チェック

  1. 顔やまぶた、手足がむくむ。
  2. 尿がにごり、量も少ない。
  3. 食欲がない、吐き気がある。
  4. 体がだるく、根気がない。
  5. 腰のあたりが痛む。
  6. 頭痛、めまいがする。
  7. 糖尿病、あるいは高血圧である。

該当する項目が多いほど腎臓病の危険性があります。

尿は健康のバロメーター

尿検査は、血液検査と同じように、からだの状態を知る重要なてがかりとなります。とくに腎臓病では、尿検査は大切な情報源です。腎機能の異常を指摘されたら、医療機関で定期的な検査を受けましょう。

腎臓をいたわる生活習慣

  1. 過労を避け、十分な休息をとる。
  2. かぜをひかないように注意する。
  3. 高血圧や糖尿病がある人は、定期的な健康診断と生活改善をする。
  4. たんぱく質の取り過ぎを避ける。
  5. 心白身の魚や脂身の少ない肉など、良質のたんぱく質を摂る。
  6. 塩分を控える。

風邪を予防するヒント

  • バランスのとれた栄養を摂る。
  • 過労を避け、十分な睡眠をとる。
  • 玄米や麦に多いビタミンB1、果物や新鮮な野菜に多いビタミンCを摂る。
  • 外出先から帰ったらよく手を洗い、うがいをする。
  • 人ごみではマスクをし、かぜをひいている人には近づかない。
  • 部屋の空調も大切、室温は18℃~20℃に保つ。風邪のウィルスは湿度に弱いので、加湿器などで湿度を60%くらいに保つ。
  • 「かかったな」と思ったら、何をさしおいても休んで寝るようにする。

貧血と言われたら

貧血とは

からだの中の細胞や組織に酸素を運ぶ役割をもつヘモグロビンが減少して、体内が酸欠状態になっていることをいいます。貧血の原因としては、【鉄分の不足】、【骨髄が血液をつくらない】、【からだのどこかから出血している】などが考えられます。いずれにしても、貧血といわれたらその原因をはっきりさせることが先決です。胃潰瘍、胃がん、大腸がん、子宮筋腫、子宮がんといった病気が隠れていることがあります。

女性に多い鉄欠乏性貧血

貧血の大部分は体の中の鉄分不足によるもので、女性に多くみられます。特に無理なダイエットや偏食などによる若い女性の貧血が増えています。不摂生な食習慣を改めて、鉄分を多く含む食品を積極的にとるように心がけましょう。

ダイエットもほどほどに

若い女性に多い貧血の原因は、無理なダイエットによる栄養不足です。すっきりやせて喜んだのもつかの間、体重減少性無月経になってしまい、深刻に悩んでいる人もいます。栄養のバランスがとれた食事を1日3回しっかり摂ることは貧血治療の基本です。

貧血予防のセルフチェック

  1. 顔色が青白い。
  2. つめの色が赤みを帯びていない。
  3. つめが薄くて平らだ。
  4. アカンベーをするとまぶたの裏が白い。
  5. 疲れやすく、だるい。
  6. すぐ居眠りをする。
  7. 頭が重い。
  8. めまいを起こしやすい。
  9. 走るとすぐ息切れがする。
  10. 階段を昇ると心臓がドキドキする。
  11. 微熱が出る。
  12. 足がむくんだり、しびれたりする。
  13. 生理の出血量が多い。
  14. 痔の出血がある。
  15. 献血のとき、比重が不足していると断られた。

アドバイス

該当する項目が13~15個 → 医師に相談しましょう
該当する項目が10~12個 → 厳重に警戒をしましょう
該当する項目が5~9個  → 十分に注意をしましょう
該当する項目が1~4個  → やや注意をしましょう

白血球数(WBC)が多いと言われたら

白血球は体内に侵入した外敵をやっつける働きをしています。つまり白血球が増えているということはからだのどこかに炎症が起こったり、細菌やウィルスが入って病気が起きていることを示しています。詳しい検査を受けてみることが必要です。

貧血を予防するには

  1. インスタント食品や外食を控え、栄養のバランスのとれた食事を摂る。
  2. 良性のたんぱく質を摂る。
  3. 鉄分を多く含む食品を摂る。
  4. 葉酸、ビタミンB6 ・B12 ・C、銅を多く含む食品を摂る。
  5. 1日3食きちんと食べる。
栄養のバランスを考えよう
たんぱく質 血色素をつくる 卵・肉・魚・大豆製品・納豆・豆腐
血色素をつくる 肉・レバー類・海藻・ごま・ほうれん草などの緑黄食野菜
葉酸 造血促進 レバー・干した果物・ほうれん草・アスパラガス・キャベツ
ビタミンB6 造血促進 いわし・かれい・ほうれん草・レバー類・卵黄
ビタミンB12 造血促進 レバー類・かきなどの貝類・粉乳・チーズ・卵黄・魚の血合)
ビタミンC 造血促進 新鮮な野菜類・くだもの
造血促進 レバー・スキムミルク・ほうれん草・バナナ

尿酸値が高いと言われたら

放っておくと痛風をひき起こす

尿酸というのは細胞の燃えかすで、プリン体という物質からできており、通常は老廃物として尿といっしょに排せつされます。しかし、尿酸が腎臓からうまく排せつされなかったり、魚介類や肉類などプリン体を含む食品を摂りすぎたりして尿酸が増えすぎると、尿酸塩という細かいガラスの破片のようになり、足の親指や膝の関節にひっかかって炎症を起こします。これが痛風です。また、腎臓にひっかかった場合は、炎症を起こしたり腎臓結石の原因にもなります。美食家やアルコールが大好きな人、特に30~60歳代の男性はくれぐれも用心してください。

痛風がまねく病気

尿酸値が高いといわれたら、まずは受診して詳しい検査を受けてください。痛風は進行すると心臓や腎臓、脳の血管障害が出てきます。

痛風をまねく生活習慣チェック

  1. 周囲も認める美食家だ。
  2. 野菜は苦手である。
  3. レバーなどの臓物類をよく食べる。
  4. 肉料理(特に牛肉・豚肉)の食事が多い。
  5. お酒を飲みすぎることが良くある。
  6. 太っている。
  7. 趣味は食べることなので、運動はしない。
  8. 30歳~60歳代の男性である。

該当する項目が多いほど、痛風の危険性があります。

一言メモ

痛風は昔、帝王病と呼ばれ、上流階級の病気と考えられていました。事実、マルチン・ルター、フランシス・ベーコン、ミケランジェロ、ダーウィン、ゲーテ、チャーチルなどの歴史上の大物がずらり、痛風で悩んだそうです。飽食の時代といわれる現代では誰もが痛風になる可能性があります。

痛風を予防する生活習慣

食事を中心として、普段の生活をコントロールしていく必要があります。

  1. 美食をしない
  2. 水分をたっぷり摂り、尿量を増やして尿酸の排泄を促す。
  3. 野菜・海藻類を十分摂る。
  4. 肥満を予防する。
  5. プリン体の多い食品はやや控えめにする。
  6. お酒(特にビール)は尿酸値を上げるので、1日に適量を限度とする。(飲みすぎに注意)
  7. うっすらと汗をかく程度の運動をする。
  8. だし汁は昆布を使う。(煮干しなど小魚やかつお節などは控えた方が安心です。)
  9. 酒の肴はは白身の魚、チーズ、野菜類海藻類、豆類などが良い。

※コーヒー・ココア・緑茶などは心配ありません。

プリン体の多く含まれる食品
魚介類 いわし・アジ
えび・ひらめ
たら・煮干し
貝類・かつお節など
肉類 肝臓などの臓もつ類
肉汁・ベーコン・牛肉・舌・豚肉・羊肉など
1日適量のお酒のめやす
清酒 1合
ビール 大びん1本
ウィスキー ダブル1杯

脂質異常症(高脂血症)と言われたら

脂質異常症(高脂血症)は成人病の元凶

脂質異常症(高脂血症)とは、血液中の脂肪分、つまりコレステロールや中性脂肪が高い状態を指します。どちらも体に必要なエネルギー源ですが、溜まりすぎると動脈硬化を引き起こし、高血圧や心筋梗塞の原因となります。脂質異常症自体には、はっきりとした自覚症状がないため、健診で見つかることがほとんどです。脂質異常症と診断されても、日常生活の改善によって、健康な血液を取り戻すことができるので、年に1回は必ず健診を受けるようにしましょう。

”善玉”と”悪玉”コレステロール

コレステロールには、動脈の血管壁に溜まって、動脈硬化を促進する悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、その悪玉を血管壁から肝臓に運び去る善玉コレステロール(HDLコレステロール)があります。善玉が減った状態も、高脂血症と同じような日常生活の改善が必要です。

高くても低くてもいけないコレステロール値

コレステロールは細胞を作る成分として、またホルモンやビタミンDなどの原料として大切な役割を果たしている脂肪の一種です。ですから、少なすぎると肝臓や脳、血管などに栄養がいかなくなり、脳卒中が起こりやすくなります。また、多すぎると動脈硬化を起こして心筋梗塞などの誘因にもなります。多すぎず、少なすぎず、ほどほどに保つのが健康の秘訣です。

発生率

脂質異常症(高脂血症)を予防するには

  1. ラードやバターなどの動物性脂肪の多い食品を控え、べに花油、コーン油などのリノール酸を多く含んだ植物油を摂る。
  2. さばやイワシなどの青背の魚を積極的に摂る。(血栓を予防します。)
  3. 卵は1日1個以内にする。魚の卵(タラコ・スジコなど)や生クリームも控えめにする。
  4. プロセスチーズ、動物の臓物(レバーなど)も控えめにする。
  5. 適度な酒は悪玉コレステロールの増加を押さえます。ただし、飲みすぎは中性脂肪を増やすので、逆効果となります。
  6. 肥満をさけ、禁煙を心がける。肥満や喫煙は善玉コレステロールを減らします。
  7. 生活の中で適度な運動を習慣づける。運動は善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減らします。

運動を習慣づけるポイント

  1. 運動の種類・量は医師に相談の上、決める。(過激な運動で体に負担がかかるのを防ぐため)
  2. 体調の悪いときは休むようにする。
  3. 無理のないペースで毎日こつこつ長期間続ける。
  4. 汗をかいたら忘れずに水分を補給する。
  5. カロチン、ビタミンC、ビタミンEを豊富に含む食品をたくさん摂って、体内でおこる酸化反応を予防する。

肝機能に異常があると言われたら

肝臓は”沈黙の臓器”

肝臓は、たんぱく質の合成、糖分や脂肪の貯蔵、胆汁の生成、からだにとって有害な物質の分解(解毒)など、実にさまざまな働きをする重要な臓器です。また、強い代償・再生能力を備えている丈夫な臓器で もあり、そのため病気になっても症状が現 れにくく、”沈黙の臓器”とも呼ばれています。変だと気付いたときにはかなり悪くなっている為、なかなか元には戻りません。早期発見・早期治療で症状の軽いうちに進行を止めることが大切です。

代表的な肝臓の病気と原因

生活習慣が原因で起こる病気

  • 脂肪肝:主に栄養のとりすぎが原因で、肝細胞に脂肪が溜まりすぎる病気。
  • アルコール性肝障害:長年にわたる大量の飲酒が原因。

検査値と考えられる病気

  • 急性肝炎(AST、ALTの値が高い)
  • 慢性肝炎、脂肪肝(AST、ALTの値が高い)
  • 肝硬変、肝臓ガン(AST、ALTの値が高い)
  • アルコール性肝障害(γ-GTPの値が高い)

こんな症状には気をつけよう

  1. からだがだるく、食欲がない。
  2. 吐き気がする。
  3. 酒量が急に落ちる。
  4. 手のひらが赤くなる。
  5. 皮膚が荒れる。
  6. 性欲が急になくなる。
  7. 微熱が続く。
  8. 下痢と便秘を繰り返す。
  9. 手足がむくむ。
  10. 大便が白っぽくなり、尿の色が濃くなる。
  11. 白目の部分や皮膚が黄色になる。

該当する項目が多いほど、肝臓病の恐れがあります。
肝機能異常を指摘されたら、まずウィルス性の肝炎でないことを確認することが必要です。

ウィルス性の肝炎

A型肝炎

ウィルスに汚染された生水や生物などを介して感染する。慢性化はしない。

B型肝炎

血液を介して感染する。出産時に母親から子供に感染することが多く、この場合将来的に慢性肝炎を引き起こす可能性がある。

C型肝炎

血液を介して感染する。輸血や覚醒剤注射などでの感染が多い。(現在では輸血による感染は大幅に減少)慢性肝炎から肝硬変、肝臓ガンになる恐れがある。

肝臓病をいたわる生活習慣

  1. 卵、牛乳、牛肉、アジ、イワシ、大豆製品など良性のたんぱく質を多く含んだ食品を摂る。
  2. 米、パン、めん類などの糖質は、肝臓の過労を防ぐエネルギー源となります。ただし、肥満には注意しましょう。
  3. 脂肪の多い食品は控えめにする。
  4. 刺激物、香辛料はほどほどにする。
  5. 野菜、果物、海藻などをたっぷり摂る。ビタミンやミネラルは肝機能の回復を早めます。
  6. 過激な運動は避け、睡眠を十分にとる。食後20~30分はごろ寝で安静にしましょう。
  7. お酒は控えめにする。特にアルコール性肝障害が疑われる人は、なによりも禁酒に努める。

お酒を健康的に飲む6か条

  1. 食べながら飲もう
  2. マイペースで楽しく
  3. はしご酒、チャンポン飲みは避ける
  4. 週に2日は”休肝日”を
  5. 深夜まで飲まない
  6. 飲酒後の”ラーメン一杯”は禁物

胃の血液検査(ペプシノーゲン検査)で異常と言われたら

ペプシノーゲン検査で何がわかるの

ペプシノーゲンは胃液に含まれるペプシン(たん白質を消化しやすくする酵素)のもとになる物質です。胃の粘膜が老化してくると、肌と同じようにシワが多くなってきます(萎縮性変化といいます)が、血液中のペプシノーゲンはこの変化を反映します。つまり血液中のペプシノーゲンが減少していれば、胃の粘膜の萎縮が進んでいることがわかるのです。

胃の粘膜が萎縮すると…

胃の粘膜が正常な場合には
がん細胞ができても胃の粘膜に定着しにくいため、がんにはなりにくいと言われます。

胃の粘膜の萎縮が進むと
がん細胞ができると胃の粘膜に定着しやるくなるため、がんになりやすいと言われます。

萎縮性胃炎と胃がん

胃がんの患者さんの胃の粘膜を調べてみると、多くの場合、萎縮が進んでいることがわかります。(萎縮性胃炎と呼ばれる)

ペプシノーゲン検査で精密検査と言われたら

萎縮性胃炎・胃がんの患者さんと健康な人のペプシノーゲンの比を比較し、一定の基準をつくり、それ以下を「要精密検査」、そうでなければ「異常なし」と判定します。

「要精密検査」と判定された方は…

胃の粘膜の萎縮があるようなので、さらに詳しい検査が必要です。
精密検査と言われたからといって、落ち込まずに必ず精密検査を指示どおり受けましょう。

「異常なし」と判定された方は…

胃の粘膜は正常のようですが、「がんにならない」ということではありませんから、定期的に検査を受けましょう。

ペプシノーゲン検査の判定基準

ペプシⅠ Ⅰ/Ⅱ の比
要精密検査(3+) 30ng/ml以下 かつ 2.0以下
要精密検査(2+) 50ng/ml以下 かつ 3.0以下
要精密検査(1+) 70ng/ml以下 かつ 3.0以下
異常なし 上記以外

「要精密検査」だったらもっと詳しい検査を

ペプシノーゲン検査はがんになる確率の高い方を振り分ける検査です。したがって陽性とされた方は萎縮性胃炎であり、がんになる確立が高いので、レントゲン検査あるいは内視鏡検査でさらに詳しく胃の状態を調べることになります。

レントゲン検査

バリウムを飲んで胃のレントゲンを撮影する検査です。胃の粘膜の凹凸に異常があれば、そのままレントゲンに映し出されます。

内視鏡検査

胃カメラ(内視鏡)を使って、胃の粘膜などをモニターの画面に映し出して、直接観察する検査です。また、胃の粘膜の異常な部分を切り取ってきて調べること(生検検査)もできます。近年では、鼻から入れる細い内視鏡や鎮静剤などを使って、受診者の苦痛や負担を軽くする検査方法も開発されています。

こんな症状には気をつけよう

  1. 食欲がありすぎる。
  2. 胃のあたりがいつも重苦しい。
  3. 空腹時あるいは食後に胃が痛む。
  4. 胸やけがある。
  5. 吐き気がよくする。
  6. げっぷがよく出る。
  7. すっぱい液がこみあげてくることがある。
  8. 便の色が黒っぽい。
  9. ストレスや心配なことがあるとみぞおちが痛む。
  10. 過労が続いている。
  11. 寝不足である。

アドバイス

1~9は胃・十二指腸潰瘍によくある症状です。
3と9は特に注意が必要です。
8の症状は消化器官からの出血の可能性があります。
10,11の状態と、他の症状が重複しているようであれば、早めに受診しましょう。

胃腸をいたわる生活習慣

  1. ストレスを溜めない。(趣味やスポーツなどで気分転換する。)
  2. アルコールを控える。(特に濃度の高いもの)
  3. 飲むときは食べる。
  4. 野菜を多く食べる。(特に緑黄食野菜)
  5. 刺激物は控えめにする。(コーヒー・カレー・とうがらし・わさびなど)
  6. 油っぽいものを控える。
  7. 暴飲暴食をしない。
  8. 規則正しい生活をする。(食事時間を決めるなど)
  9. 睡眠を十分とる。
  10. 禁煙を心がける。
  11. 適度に運動する。
  12. 風邪薬、鎮痛剤などを控える。